“mcframe – Built on Trust Ready for the Future”
ビジネスエンジニアリング株式会社
代表取締役社長兼CEO
羽田雅一氏
売上高、営業利益とも過去最高へ
当社は企業資源の総合管理を担うエンジニアリング会社です。1999年の正式開業から四半世紀を超えるまでとなりました。ドイツの企業向け業務統合ソフトウエア(EPR)大手「SAP」社の日本における初となるパートナー企業でもあります。
自社開発パッケージソフトウエア「mcframe」は、製造業など企業ごとに最適なシステムの構築が求められる時代要請の中、1996年にリリースされました。使い勝手やカスタマイズ性が高い評価を受け、ものづくりのためのIT基盤を提供する会社として、多くのパートナー企業やエンドユーザーに支えられてきました。
6年前に東洋ビジネスエンジニアリング株式会社から現社名に社名変更しました。SAPとmcframeという小規模な取り組みから始まった当初事業は、現在ではSAPなど他社製パッケージ製品を基盤としたシステムインテグレータとしてのソリューション事業、mcframeを柱とした自社開発パッケージ製品の販売・導入を担うプロダクト事業、導入後の運用・保守サービスなどを行うシステムサポート事業と、大きく3つの柱として成熟するまでとなりました。
海外ではこのうち、プロダクト事業を中心に展開しています。同種同規模のIT企業の中にあって、海外市場には比較的早く進出しました。2007年のタイを手始めに、2010年に中国、2015年にインドネシアとシンガポール、そして2017年に米国にそれぞれ現地法人を設立しました。
この間、国内外ともに体制を強化し、人員もグループ全体で当初の100人から800人超までに規模が拡大しました。年間売上高も順調に増え、2025年のそれは過去最高の220億円に達する見通しです。2010年代初頭と比べても2倍を超える高い伸び率となりました。
売上高以上に、営業利益もこれまでで最高となる見込みです。昨今はパッケージビジネスの比率が高まっており、売上高よりも利益の伸び率が高くなっているためです。顧客にとって最も優先されるべきは生産を止めないこと。基幹システムは経営基盤の安定化に直結します。2025年秋に取りまとめて発表した2030年までの経営計画でも、そのための持続的な成長に向けた力強い投資を継続していくことを宣言しています。
ERP市場の拡大
EPR事業は、かつては低成長ビジネスと見られていました。2008年に始まった世界金融危機いわゆるリーマンショックでは、業績の悪化を食い止めるために真っ先に削減されたのがこの分野への投資でした。その結果、皮肉にもほとんど手つかずのまま未知の領域として残ったのがサプライチェーン市場への投資でした。売上高100億円を誇る大企業ですら、古いシステムを使用したままのケースが珍しくありませんでした。
こうした中、転機は少しずつ訪れます。生産の現場では、今さらながら古いシステムがもたらす生産活動への悪弊に徐々に気づかされるようになっていました。業務統合ソフトウエアの必要性が徐々に再認識されるようになったのでした。そして、そこに新型コロナウイルスの感染拡大が加わります。導入は待ったなしの状況となりました。
コロナ禍は企業活動全体に深刻な影響を与えました。工場では、人と人との接触が禁じられました。航空機が運休したことから海外拠点を訪ねることもできなくなりました。こうした時、自ずと関心が向くようになったのが、人と人との接触を介しないデジタル投資の領域でした。需要は一気に膨らみました。
こうしてERP市場は加速度的に拡大を続けます。以前でしたら、せいぜい年に2~3%止まりだった同市場の成長率は、2022年には対前年比9.5%を記録。その後も8~9%台の高い伸び率を続けています(矢野経済研究所調べ)。売上高100億円規模の大企業の半分が古いシステムの足かせに悩まされ、改善を求めたのでした。
当社製パッケージのmcframe市場も同様で、2021年には18.2%、2024年にはこれを上回る19.1%増を記録するなど市場は活況を続けています。まさに追い風と言うに相応しい状況でした。2025年3月末時点の生産・物流管理ソリューションライセンスの売上高で、当社は首位のSAP社に次ぐシェア第2位の地位に就くまでに急成長を遂げました。mcframeのライセンス累積顧客数も1066社に達し、海外15カ国・地域だけでも246社を記録するまでとなりました(2025年3月末時点)。
mcframeの今
生産在庫管理から出発したmcframeですが、そのバリエーションや用途は幅広く活用領域は広がっています。製造業のサプライチェーン管理に始まり、周辺領域である設計連携mcframe PLM、稼働実績収集mcframe IoT、海外現地法人向けのmcframe GAなど今では用途は多岐に渡ります。日本の本社や海外工場といった拠点毎の特性に合わせ、サーバーなどシステムを社内に置くオンプレあるいはクラウド活用のSaaSのいずれにも対応できるラインナップも取り揃えております。
いくつか具体的な『生産性向上とコスト削減』の導入効果をご紹介していきましょう。まずは、生産ラインなど稼働情報収集し分析・対応を行うmcframe IoTです。2016年の販売開始以来、世界10カ国100社以上の企業の活動現場で採用されています。海外工場での導入事例が多く、採用によって生産ラインの稼働状況を把握する時間が従来の480分から10分と大幅に短縮。日々行われる打ち合わせ時間も3分の2まで短くできたという報告が寄せられています。
海外現地法人向けクラウド型会計・ERPパッケージシステムのmcframe GAは、現場の生産・販売・原価管理を担います。これまでに33の国と地域、計1500社への導入実績を持ち(2025年3月末時点)、アジアへの軸足が特徴です。世界各地にある拠点のデータを統合し、企業グループの経営状態を一元管理します。会計を基盤とすることから非製造業企業でも導入が進んでおり、現在では当システムの導入企業の割合は、商社や物流業界などの非製造業企業が4割を占めるまでとなりました。
サプライチェーンマネジメント・パッケージのmcframe 7は、「今ほしい情報」を必要とする大企業向けとして製造業目線で開発されました。生産・販売・原価管理の統合導入のほか既存システムとの連携を目指しており、オンプレ志向の高い製品です。一方、クラウド型ERPのmcframe Xは導入や保守・管理の容易性を保ちながらカスタマイズの柔軟性も改善されております。近年は企業の状況やニーズに応じて、どちらを採用するか判断されるケースが増加しています。特に海外でその傾向は顕著です。
サステナビリティへの取り組みを後押しするmcframe 7 CFPは、これからの製品に求められる価値向上に欠かせないシステムです。生産工程で排出される温室効果ガスを製品単位でシミュレーションすることができます。機能的品質的に優れたモノが優先的に生産される時代はすでに過去のものとなりました。より安く、より早くに加え、より環境に負荷をかけないよう製品を提供していく取り組みが企業に求められています。
AIの活用とこれからのmcframeシリーズ
生成AI(人工知能)の活用を求める顧客ニーズも拡大しています。小規模・ベンチャー企業にとどまらず今では大企業からも「最新のAI技能・技術を取り入れたい」という要望が高まっています。その一つに、製品への問い合わせなどQA対応があります。それまで窓口を設け、実際に人が個別に、上客にあっては顧客毎に置かれていた担当者制を廃止する動きが広がっています。当社でも2024年秋から導入を始めたところ、当初は45%程度でしたAIによる回答率が今では70%近くに達しています。
ユーザーにとってみれば、何度も同じことを窓口の担当者に尋ねるのは気が引けます。また、一定を超える人的サポートは有償とするケースが多く、導入企業にとってみればサポート料という新たな負担も生じてしまいます。ナレッジベース(蓄積情報)をAI活用するといったこうしたケースは今後も増えていくことが予想されています。
2025年11月にリリースしたばかりの会計システムAI Agent(GLASIOUS)も、AI技術を巧みに応用した事例の一つです。これまで帳票処理など会計の現場では、使用されている言語ごとにOCR変換を行い対応していく必要がありました。タイ語やインドネシア語など、そのための設備投資は企業の負担となっていました。ところが同製品を使えば、AIが他言語に自動変換。名寄せや残高チェックまで行ってくれます。人の作業は帳票のアップロードと残高確認にまで減少できます。
AI Agent機能は会計に限ったものではありません。製造業は多種多様な現場を抱えており、その活用可能範囲は無限と言っても言い過ぎではありません。いずれは、サプライチェーンの分野にも活用されていくことでしょう。機械学習アルゴリズムを通じたAIの力で、産業社会は革命的な変革を遂げていくのです。
当社製品のmcframeシリーズを横のつながりで支えてくれているのが、導入企業のみなさんで作るユーザーコミュニティ「MCUG(mcframe Users Group)」です。2025年6月現在、会員企業数は254社。mcframeおよび関連製品の有効活用など製品をめぐる情報交換や研究、会員相互の親睦を目的としています。ユーザー分科会はタイやインドネシアにも置かれ、セミナーやワークショップなどさまざまな場面で交流が図られています。人材の確保や安全面などの面でも意見交換が進んでいます。
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