タイの現場で見えてきた、いま必要な視点とは
「なぜ、私たちのソフトウェアは海外でまだ充分に知られていないのだろう?」
日本のテック企業様と日々ご一緒している中で、この問いを耳にする機会は少なくありません。
私たちICHI mediaも、タイで多くの日本企業のマーケティングを支援する中で、同じ疑問を何度も感じてきました。
製品の品質には自信がある。お客様からの評価も高い。
それでも、海外では思ったように反響が得られない。
現地企業との商談につながらない。
そんな歯がゆさを、私たちは現場で一緒に経験してきました。
この記事は、「なぜできないのか」を批評するためのものではありません。
「どうすれば、日本のソフトウェアがもっと世界で使われるようになるのか」。
そのヒントを、タイの現場から共有したいと思います。
「知られていない」のではなく、「まだ伝わっていない」
まず理解しておきたいのは、日本のソフトウェアが “知られていない” のではなく、まだ充分に理解されていないということです。
日本のソフトウェアは、日本国内の業務プロセスを前提に緻密に設計されているものが多いように感じます。これは日本市場では強みですが、海外では導入ハードルになる場合もあります。
一方で海外市場では“完璧”よりも“速さと簡単さ”が評価される傾向があります。
たとえば、欧米のSaaS企業は最初から「世界中で共通して使われる」前提で製品を設計します。
対して日本のソフトウェアは、
「何がユニークなのか分かりにくい」
「価格よりも“なぜ必要か”が見えない」
「日本のやり方をそのまま押しつけているように感じる」
これは、単なるマーケティングの問題ではありません。
設計思想から組織構造、販売モデルに至るまで、グローバルを前提にした構築が行われていないことが根本的な原因のようにも感じます。
“日本品質”を誇る前に、世界基準での「使われ方」を理解する
タイをはじめ東南アジアの市場で共通しているのは、「スピード・拡張性・コスト感覚」の3つを重視する意思決定の速さです。
日本の製品は「確実」「高品質」という印象を持たれる一方で、“ユーザー体験が日本的すぎる”といった声も少なくありません。
つまり、品質が高いことは理解されていても、それが“現地での使いやすさ”に直結していないケースがあるのです。
このギャップを埋めるには、「どのように使われるのか」「どんな課題を現地で解決したいのか」
そのリアルな利用文脈を、製品設計やマーケティングの初期段階から取り込むことが大切です。
私たちも現場で感じるのは、“機能を足す”よりも“現地の業務フローに溶け込む”ほうが、はるかに大きな成果につながっているような気がしています。
組織として「現地の声を吸収できる仕組み」を
もうひとつ大切なのは、組織の再設計です。
海外展開を担当するチームが、国内本社と別のレイヤーに分かれていると、現地の顧客ニーズや競合情報が製品開発に届かないことがあります。
私はかつて米国シリコンバレーからの日本進出のマーケティング支援をしていたことがありますが、米国や欧州のSaaS企業では、開発・営業・マーケティングが横断的に連携し、現地スタッフの意見がすぐに反映される体制を持っていました。
日本企業でも、たとえ小規模でも「現地の声を戻す回路」を持つことで、プロダクトは確実に磨かれていきます。
ICHI mediaでも、現場でお客様の課題を聞くたびに、「この機能があればもっと使われるのに」と感じる場面が多々あります。
その気づきを製品側に届けることこそ、私たちの役割だと思っています。
“良さを説明する”マーケティングでは届かない
海外市場でのマーケティングは、「比較」ではなく「共感」で動きます。
製品の強みを説明するだけでは、誰の課題をどう変えるのかが伝わりません。
たとえば、米国のSaaS企業は「なぜ今これが重要なのか?」から語り始めます。
そのうえで、社会や業界の変化と自社のミッションを結びつけて提示します。
一方、日本企業の説明資料は「導入事例」や「機能一覧」で終わることが多いように感じます。そのため、現地ユーザーから見ると“いい製品だけどストーリー性がない”と感じられてしまうことがあるようです。
ICHI mediaが目指す「共に歩む支援」
日本のソフトウェアには、誠実さと信頼性という強みがあります。
しかし、その価値を世界で理解してもらうには、発信の仕方、見せ方、組織の作り方を変える必要があります。
私たちICHI mediaは、タイで日系テック企業のマーケティング支援をしています。
「現地に響く言葉で伝える」
「文化の違いを設計に反映する」
この2つを軸に、メディア発信・展示会・商談支援を行っています。
この記事でお伝えした課題は、どの企業にも共通する“壁”ではないでしょうか?
そして、その壁を越えるための道筋もまた、共通しているように感じます。
もし今、海外展開や現地での成果に悩まれているようでしたら、ぜひ一度、私たちにお声がけください。
一緒に“世界で戦える日本のソフトウェア”を形にしていきましょう。
ICHI mediaでは、日本のテック企業様に向けて、タイにおける進出マーケティング支援をご提供しております。詳しくは、以下をご覧になりまして、お気軽にご相談ください。
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