2025.06.14

Tech News

【Manufacturing DX】タイ駐在員事務所開設から半年 いつも顧客のそばで。現場DX、デジタル化のニーズに応える。

タイ駐在員事務所開設から半年 いつも顧客のそばで。現場DX、デジタル化のニーズに応える。

 紙の現場帳票を電子化できるシステム「i-Reporter」が海外市場で流通を始めて今年でちょうど10年。この記念すべきタイミングで迎えたのが、株式会社シムトップス(本社・東京)のタイ駐在員事務所開設だった。2024年10月1日、奇しくも33年前の会社設立記念日と同じ日にスタートを切った同事務所は、開所から半年でようやく体制が整ってきた。タイ人の営業スタッフが代理店の販売支援を行えるようになったほか、顧客への提案を難なくこなすまでに。今後は更なる体制の強化と個々人のスキルアップに注力し、タイ駐在事務所の存在意義を高めていく方針だ。

i-Reporterグローバル市場導入350社を記念した感謝パーティー

 今年2月21日金曜日のことだ。バンコクのホテルで開かれたのは、i-Reporterを導入する海外顧客企業350社達成を記念しての感謝イベントだった。集まったのはタイの代理店などに勤務するタイ人IT技術者やアジア各国のパートナー企業の関係者ら総勢100人超。タイ駐在員事務所のお披露目の意味も兼ねた感謝の意を表すイベントだった。
 東南アジアで最も大きな市場であるタイ市場。体制がようやく整ったことで、今後はスピード感を持ってパートナー企業、顧客支援を行うことができる。初代事務所長を務める沼田欧行氏も「出張ベースでも、日本人のみ相手にしていてはビジネスは上手くいかず、タイ人と英語でコミュニケーションを積み重ね、育ててきたからこそ、今のフェーズがある」と指摘。

信頼関係の構築とタイ人パートナーの成長

 こうした現場や時代の要請の変化に対応できた背後には、何年もかけて展開してきた日本からの出張といった企業努力があったと沼田氏は感じている。パートナーである現地代理店のスタッフとは信頼関係を構築し、提案から導入、継続的な技術支援まで自社で自走できるところまで協業を深めてきた。そして、複数の頼もしいパートナーが日々提案活動、顧客サポートに対応するまでとなった今、求められているのは新たな仕事の在り方だと考えている。すなわち、エンドユーザーである顧客の更に近いところで、いかにスピーディーに、いかに深くニーズに応えられるかといった体制づくりだ。そのためには何が必要か。考えた結果出てきた解が、駐在員事務所の立ち上げだった。
 開所から半年。早くもその効果は出始めている。顧客からは「i-Reporterのタイ事務所が近くにあって助かる」「いつでも気軽に声が掛けられる」と言った声が寄せられるようにもなっている。こうした情勢の変化を背景に、毎月実施される代理店との定例ミーティングも熱を帯びるようになっている。

i-Reporter導入ウェビナーの開催

 一連の流れを受け、この4月からスタートし定期開催となったのがi-Reporterを海外工場で導入しようと検討する顧客企業や、その支援を行う代理店スタッフを対象とした無料ウェビナーだ。日本語で行われるものと、英語のものがあり、現地の日本人管理者向けと現地ローカルスタッフ向けにそれぞれ成功事例の秘訣を盛り込んだ内容となっている。
 合わせて今後は、駐在員事務所に勤務するタイ人スタッフによる具体的な使用法やテクニックをタイ語で伝授する「無料ウェビナー」も開催していく予定だ。代理店スタッフやエンドユーザーのタイ人スタッフが母国語でi-Reporterについて理解を深め、販売促進やカスタマーサクセスを加速度的に進めることができる。

 シムトップス日本本社では今後の成長に向けた目標として「グローバル市場での拡販」を掲げており、期待を持って海外事業への支援を行っている。東南アジアのほかインド、韓国、台湾などのアジア諸国、さらにはヨルダンやアラブ首長国連邦などの中東、そして米国、メキシコなどの北米を含む計16の国と地域でi-Reporterは導入済だが、「その中でもタイに対する期待は最も大きい」と沼田氏。今後はタイ人スタッフを増員し、タイ市場におけるシムトップスの存在意義を高め、顧客が持つ現場記録のデジタル化をパートナーと共に拡充していく方針だ。そこで貫かれるのは「顧客第一主義」だ。